気温が30℃を超え日照時間が多いと花芽が多く作られ、翌年春の花粉飛散量は多くなります。逆に最高気温が25℃程度にしかならないいわゆる「冷夏」では、木は花芽ではなく枝を伸ばすことに注力するため、翌年春の花粉飛散量は少なくなります。
スギの雄花が大きく成長する秋に、実際にスギ林に行き、雄花の出来具合を観察し、必要に応じて予測を修正します。
夏に成長した雄花は、秋に一旦成長をやめ休眠状態になります。ところが年明けて1月になると、寒い気温の変化が刺激になって休眠から目覚め、花を咲かせる準備を開始します。このため冬には、気温の推移をもとに、休眠から目覚めるタイミングを分析し、花粉が飛び始める時期を推定します。
過去の飛散数とさまざまな気象条件に基づく予測式から、翌日の花粉数を計算し、天気予報を加味して花粉予報として発表します。さらに予報に正確性を期すため林を検分し、開花状況を確認します。
カメムシは、スギやヒノキの木に卵を産みます。産卵後、親世代は生涯を終えますが、卵から孵化したカメムシは、スギやヒノキの実を餌にして成長し、秋には成虫になります。スギ・ヒノキの花粉数が多い年は、エサとなる実が多くできているため、カメムシが大量発生するというわけです。
1940年8月19日生まれ。東邦大学卒業。高校生の時に花粉の観察法を学ぶ。高校卒業後は東邦大学薬学部に進学し、花粉研究を専攻。その後、母校である同大学にて、教授として花粉撲滅を目指し、花粉についての調査を続けた。2018年6月に大学教授を退職後、NPO花粉情報協会の事務局長として、セミナーの講師や調査に取り組んでいる。